第5回 北信越・中部ブロック合同研修会報告書

    第 5回日本水泳ドクター•トレーナー会議北信越•中部ブロック合同研修会報告

北信越・中部ブロック幹事医療法人 MSMCみどりクリニック鈴木侑樹

【日時】令和 2年 1月 25日(土)【会場】遠鉄百貨店新館 13階会議室⑥

【参加者】 14名(ドクター:1名トレーナー:8名その他:(一般) 4名 (学生)1名 )

<内容>
1.ジュニア選手に対するトレーナーの関わりについて
日本水泳トレーナー会議上牧温泉病院理学療法士猪股伸晃先生

2.世界水泳・世界短水路帯同報告
日本ドクター会議名古屋大学医学系研究科整形外科膝肩スポーツ班坂口健史先生

3.総合討論
座長:奥田鉄人先生シンポジスト:猪股伸晃先生、坂口健史先生、大野健太先生

 

〜研修会を受講しての感想〜
 2020年 1月 25日に静岡県浜松市で行われた第 5回日本水泳ドクター・トレーナー会議北信越・中部ブロック合同研修会に参加しました。最初に、「ジュニア選手に対するトレーナーの関わりについて」日本水泳トレーナー会議上牧温泉病院理学療法士猪股伸晃先生から、群馬県でのジュニア選手への関わりについて、ナショナル合宿でのかかわりについて、そしてジュニア選手に対してトレーナーがどのようにかかわり、選手の障害予防や強化に結び付けていけばよいかなど、多くの興味深い内容を聞くことができました。私が活動している三重県でもナショナル合宿が毎年行われるため、県レベルの選手をナショナル合宿レベルの選手に強化していく際に、トレーナーがどのようにかかわっていけばよいかのヒントをいくつもいただけました。
 次に、日本ドクター会議名古屋大学医学系研究科整形外科坂口健史先生から「世界水泳・世界短水路帯同報告」を聞きました。日本のトップ選手への帯同をどのように行っているのか、ドクターの立場だけでなく、トレーナーがどのような役割でどのようなことを行っていたのかも含めて聞くことができ、大変勉強になりました。2名の先生の講演を聞いた後、総合討論として、参加者の先生方も含めて、ジュニア選手からトップ選手へ向けて、ドクター・トレーナーがどのようにサポートするのが良いのか、日本の良い面や世界との違い、各県での取り組みや活動等多くの意見を聞くことができました。ジュニア年代からトップ選手へとサポートしていくには、成長の特徴も含めて、一人のドクターやトレーナーだけではなく、指導者や保護者も含め、多くの人が情報共有をしながら、選手をサポートしていくことが大切ではないかと感じました。今後もこのような研修会を通じて、中央での取り組み、各県レベルの地方での取り組みなど、情報交換等を行い、選手のサポート活動に生かせればと思います。
三重県水泳連盟医科学委員会トレーナー三重大学医学部附属病院直江祐樹

〜所感(医療法人 MSMCみどりクリニック鈴木侑樹)〜
 今年度の研修会は静岡県浜松市において第 5回日本水泳ドクター・トレーナー会議北信越・中部ブロック合同研修会が開催されました。今回は、ナショナル合宿やジュニアパンパシの帯同されている猪股伸晃先生と世界短水路選手権や世界水泳に帯同された坂口健史先生の 2名の講師をお招きし、非常に有意義な研修会を行うことができました。最初にジュニア選手に対するトレーナーの関わりについてという内容で日本水泳トレーナー会議上牧温泉病院理学療法士猪股伸晃先生にお話をしていただきました。群馬県での取り組みやナショナル合宿でのジュニアアスリートの関わりなど中央だけなく地方(群馬県)でのサポートを手厚く行っていくかなどを紹介されていました。また、ジュニア期の成長や身体特性などからジュニア選手が現在どの成長段階であり、それが発達途中でこれから獲得されていくものか、成長しておりそれが足りていないものなのか、トレーナーやドクターなどがきちんと判断する必要があると講演されており、今後のジュニア選手の対応に対する参考になる内容でした。次に世界水泳・世界短水路帯同報告という内容で日本ドクター会議名古屋大学医学系研究科整形外科膝肩スポーツ班坂口健史先生にお話ししていただきました。世界水泳や世界短水路の帯同報告をしながら現場ではどのように進んでいきメディカルスタッフの関わりについてお話されていました。その中でも世界水泳では競技終了が遅く選手がその後ドーピング検査や表彰などで遅くなることがありその際の食事やケアなどが遅くなる現状をお話ししていただけました。また、大会期間中の坂口先生が遭遇した選手の外傷や障害などを紹介していただき現場での対応の難しさなどを講演されており、トップレベルでのドクターとトレーナーのサポート状況を改めて知ることができました。最後に猪股先生、坂口先生、ブロック代表の大野先生をシンポジストとしてジュニアアスリートからトップアスリートまでのサポートの課題について総合討論を行いました。現在のトップチームやジュニアチームにおいて良くなっているところは、ドライランドがしっかり整理され、他の国よりも充実している内容であることやトップ選手に関してはセルフケアが基本でトレーナーに依存していることが少なくなり選手が個々で自己管理ができていることなどが挙げられていました。次にトップアスリートやジュニア選手の障害について話し合いました。現在ドライトレーニングの成果があり腰部の障害が減少しているが肩に関する障害が増加しているという話が出ました。また、ジュニア選手とトップアスリートの肩障害に違いや特徴については、シンポジストや参加者から様々な意見があり、ジュニア選手の肩障害に関してはエコー検査や医療機関との連携をする必要があり、今後の肩障害に対する課題が挙げられました。肩関節障害に関連して肩関節外旋が大きい選手の障害リスクが高いということでシンポジスト、参加者と様々な意見があり、結論としては難しくキャッチポジションでの可動域などさらに詳細に調べる必要があるなどが挙げられました。当初予定していた時間よりオーバーしてしまうほど凄くも上がった総合討論となりました。最後にご講演いただいた先生方、研修会の企画や準備にご協力していただいた奥田先生・大野先生、会場運営をサポートしていただいた会員スタッフに深く感謝申し上げます。これからも多くの会員が参加し、実りのある地域活動となることを切に願いつつ、報告とさせていただきます。